絵を写実的に描くために必要な四つの要素を紹介【メイキング付き】

2020年5月18日

絵を描くときに、考えることが多すぎて難しく感じる人は多いのではないでしょうか。

でも、一見複雑に感じる絵について分解して考えてみると、絵を描くうえで大事なものは「デザイン」と「写実描写」のたった二つだけです。

デザインというと、「世界観設定」や「衣装デザイン」といったものです。

写実描写というと、「目で見たものを、そのまま絵の中に空間を感じさせるように描く」ことです。

今回は、そのうちの後者…つまり 写実描写において重要な4つの要素について紹介します。

最後には簡易メイキングもつけています。

今回の記事は「面で絵を描こう」という趣旨の記事の第二回目です。

第一回目は「面で絵を描くとはどういうことか」について解説しているのでよければご一読ください。

<面に関する記事一覧>

 

絵に必要な四つの要素とは?

さっそくですが、絵において必要な四つの要素は以下の四つになります。

  • シルエット
  • ライティング
  • 質感

では、この四つの要素について順番にみていきましょう。

1.色

「物体が何色に見えているか」です。

色を捉えるときは、周囲の色との関係によって脳が正しい色を認識できないことが多いので、 「物体そのものの色が何色なのか」より「周りの光の影響などで実際には何色になっているのか」を認識してください。

例えば…

上の魚の色は何色と聞かれたら「黄色」と考える方が多いと思います。

でも、実際には水中で青くなることを考慮して「黄色+青色=緑色」になっています。

色について、より詳しい記事はこちらをどうぞ。

2.シルエット

「描く対象がどのような形をしているか」です。

シルエットを捉えるときは、雲や毛皮などを除き、 輪郭をはっきりしたブラシで描くことがコツ です。

3.ライティング

lighting…(絵画などで)光の配置明暗.

weblioより引用

ライティングを考えることは、 光源がどこにあり、物体にどの角度から光が当たっているかを考えること です。

例えば、上の画像だと、画面左上の、向かって奥の方から太陽の光が差し込んでいるのが分かると思います。

光の当たり方を考えることができると、以下のようなことが理解できます。

  • モチーフが順光なのか、それとも逆光なのか
  • 光の影響によって色の色相・彩度がどのように影響を受けるのか

つまり、ライティングが理解できていると実物を見たときに「なぜこう見えるのか」が分かるようになり、状況の理解がしやすくなるということです。

ライティングに関する詳しい説明は、下の記事をどうぞ。

4.質感

質感は、「物体の表面がどんな状態なのか」「物体がどのような性質を持つか」を視覚的に表現したものです。

例えば、岩ならザラザラしている、雲なら柔らかく薄いなどです。これらはブラシの使い分けで表現することもできます。

基本的には、 色やシルエットだけでは表現できない実在感やリアリティを質感で補足するイメージ です。

質感については、下の記事で詳しく書いています。

質感は絵の仕上げ的な役割になるので、描き慣れてない内は後回しでもいいです。

まとめ

今回の要素同士の関係性を図にすると上のようになります。

理論上、色と形を正確にとらえることができれば写実的な絵を描くことができますが、それだけだと資料が少ない空想の世界を描くことが出来ません。

でも、ライティングと質感を考えることができれば、空想の世界でも整合性の取れた絵を描けるというわけです。

四つの要素を意識したメイキング

最後に、今回の四つの要素を 「実際にどの段階で意識しながら描くのか」 をメイキングで解説したいと思います。

最終的に絵の釣り合いが取れたら、考える順番が多少異なってもOKです。参考程度にお読みください。

1.ラフを描く

まずは「色」「シルエット」を考えながら 大まかにラフを描きます。

ポイントは、色は「全体的に何色になるか」、シルエットは「おおまかにどんな形なのか」を考えて描くことです。

色づかいに自信がない人は、参考資料からスポイトで納得のいく色を取りましょう。

<ここで考える要素>

  • 色(ラフ)
  • シルエット(ラフ)
 

2.ライティングを考える

次に「ライティング」を考えて、明るい部分と暗い部分の色を描きます。

はじめのうちは、上の絵のように、明・暗は一色ずつでも大丈夫です。

光源を考えることと、写真をよく観察して描くのがコツ です。

例えば、一口に葉っぱと言っても、表面が柔らかく光を透過する葉もありますし、一方で表面がツルツルで光を反射する葉もありますよね。

<ここで考える要素>

  • ライティング
 

3.シルエットを整える

「シルエット」を整えます。

消しゴムで輪郭を削ったり、サイズの小さいブラシで輪郭付近を細かく描いたりして、シルエットを資料に近づけていきます。

鉛筆で点を何個も打つように 短いタッチを重ねて描くことで細かい描写ができます。

このときに、写真やキャンバス内から色をスポイトで取って様々な色を取り入れるのがコツです。

ブラシの不透明度を80~90%にして描けば、塗り重ねるだけで自然に色を増やすことができます。

<ここで考える要素>

  • 色(多くの色を入れる)
  • シルエット

 

4.質感を描き込む

「質感」を整えます。

素材の特徴をとらえて、わかりやすく表現するのがコツ です。

今回は、木の幹だったので凹凸を描いたり特徴的な洞を描いたりしました。

<ここで考える要素>

  • 質感

 

5.完成

さらに描きこんで完成です。

今回は葉を細かくしたり、ハイライトを足したりしました。

6.まとめ

基本的には 「初めに軽く全体を捉えで描き、描き進めながら細部をつめていく」 流れになります。

「軽く全体を捉える」「細部をつめる」というのが、はじめはとても難しく感じると思うので、慣れてない方はこのメイキングの2~3くらいのクオリティを目標にしましょう。

背景は、写真から正確な色を取りさえすれば、キャラクターと違い多少形が元と違ってもそれっぽく見えるのが利点です。

最後に

いかがだったでしょうか。

今回の四つの要素を改めて確認すると以下の四つです。

  • シルエット
  • ライティング
  • 質感

僕も今回の手順で初めて描いたときは、新しい描き方に慣れずに「絵が下手にみえて辛いから線画を描く方法に戻そうかな」と思ってしまいました。

でも、そこを乗り越えてからは描けるものの幅が広がったので、はじめを乗り越えられるかどうかが上達のカギだと思います!

それでは~