ゲーム系専門学校選びで失敗しないために学校の”カリキュラム”と”設備”を確認しよう

2022年2月12日

カリキュラムが特化されているかどうか

個人的には カリキュラムが特化されていない学校はおススメできません。

なぜなら、特化していないカリキュラムでは、就職活動で通用するスキルを磨くうえでメリットがないばかりか、デメリットの方が多いからです。

専門学校生にとって幅広く学ぶ必要性は薄い

“仕事で通用しないスキル”は”スキル”としてカウントされない

「様々な授業を受ける方が、幅広いスキルが身について就職に有利だ」と説明する学校がありますが、これはかなり飛躍した主張です。

なぜなら、就職活動において「幅広いスキルを持っている方が有利」なことは確かですが、 これについては「各々のスキルが、鍛えれば仕事で通用するレベルであれば」という前提条件がある からです。

就職においては”ツールの使い方を単に知っている”だけでは意味を持たず、”ツールを使いこなしてそれなりの作品を作れる”というラインに達してようやく意味を持ちます。

なので、まずは分野を絞ってでも”それなりの作品を作れるようにする”のが第一段階で、それがままならない状態で あれこれと広く浅く学ぶのは意味がない というわけです。

在学中の時間は有限ですので、多くのことに手を広げるほど各々の習熟度は下がり、中途半端な人材になりやすいと言えます。

専門学生に色々学ぶ時間のゆとりはない

ゲーム業界の就活は大手で春、それ以外で夏には始まります。

就職活動は、履歴書を書いたり面接に赴いたりと時間をとられる上、連日届く不採用通知で心をすり減らすことになるので、時間面・精神面で余裕を持って作品制作に打ち込めるのは ”卒業の一年前” までと思っておいた方が良いでしょう。

なので、 2年制であれば1年の間で、就活で通用するレベルのクオリティの作品をある程度用意しておく必要があります。

全くの初心者が1年間で就活で通用するレベルの作品を作るのは、上手くやりくりしないと非常に厳しいというのは、なんとなく想像できるのではないかと思います。

カリキュラムが特化されていない場合の具体的なデメリット

ライバルが見つけにくい

カリキュラムが特化されていないと、クラスの中にも色々な人が集まってくるため、、志望職種や実力が近いライバルを見つけにくくなります。

この場合、専門的な知識を情報共有したり、お互いに作品に対して意見を出し合ったりすることができないので、 モチベーションを維持することが難しい と思います。


(↓上の言いたいことをちょうど要約してくれているツイートを見かけたので、共有しておきます。)

興味のない授業を受けることでストレスがたまる

入学して数カ月は、初めて学ぶことが多いので誰しも充実感を感じると思いますが、就職活動の時期が近づいて自分の志望職種が定まってきた際には、時間上の制約から自分の志望職種に関係のない授業を受けることにストレスを感じ始めると思います。

こうなると、 人によっては作業時間の減少や制作意欲の減退などに繋がってきます。

具体的には、「就職活動まで時間がなくて、一日中作品作りに打ち込みたいのに、学校の授業を受けに出向かなくてはならない」といった感じです。


 

このように書くと、「ならば、興味の無い授業は切れば良いじゃん」と思う方もいるかもしれません。ただ、それは意外と難しいです。

なぜなら、専門学校は卒業にあたり一定以上の出席率が必要なので、上記の考えのもと、 欠席して作品作りに打ち込むと卒業できない可能性がある からです。

仮に出席日数が足らなくて卒業できなかった場合、企業側から内定を取り消されるリスクがあります。

こういった事態を恐れて、卒業のためだけに学校に通う羽目になるのならば、 初めから自分のニーズに沿った無駄のないカリキュラムを受ける方が良い ですよね。

大学を出ることで得られる学歴よりも、専門学校に通うことで得られる実践的なスキルを求めて、専門学校への進学という選択肢を取るわけですからね!

カリキュラムが特化されているかどうかを確認する2つの方法

時間割を訊ねる

カリキュラムを確かめるには、時間割を確認するのが一番確実です。

もし、説明会などでスタッフが明確に時間割を説明できなかったり、学校の資料に記載されている授業名が曖昧で、授業名から内容を具体的にイメージできないものの場合は、カリキュラムに対して警戒心を抱いても損はないです。

授業内容を具体的にイメージできない例:Photoshopオペレーション・作品演出・背景デザイン等

なぜなら、この場合、学校は授業内容に関与しておらず、 授業内容が講師に一任されている可能性があるからです。

­授業内容が講師に委ねられていると授業の質が下がる

授業内容が講師に委ねられていると、 講師によって授業の質にばらつきが出ますし、講師間で授業内容の共有が行われませんので、授業の質が低くなります

具体的には、以下のような事態が想定されます。

  • 同じことを二度教わる
  • 教わりたい事が教われない
  • 同時期に重い課題が複数出て、各々の課題に真摯に向き合えなくなる

そうならないためにも、事前に知識を仕入れた上で、学校のスタッフに時間割を確認し、専門学校の程度をしっかりと見極めましょう。

僕の学校の場合、学校が授業内容を把握していなかったため、授業を受ける際に、その教室のPCに授業で必要なツールがインストールされていないといった事態がありました。

在校生の作品の傾向を見る

生徒の作品からは学校の特色や教育方針が読み取れます。

 

例えば、生徒の作品がクオリティの高い3D背景で埋め尽くされていれば、その学校が3D背景に力を入れていて、未経験からでも成長できるように丁寧にカリキュラムが組まれていることが窺えます。

一方、 生徒の作品のテイストやモチーフに大きなばらつきがある場合は、その学校が放任主義である可能性があります。 (例えば同じクラスにキャライラスト、3D、背景の作品が混在している場合など。)

後者の場合、カリキュラムがイマイチで、各々が授業とは関係なく独自にスキルを磨いている可能性が高い(学校で学ぶメリットが薄い)です。このことは、先ほどの「ライバルが見つけにくい」というデメリットにもつながってきます。

学校のHPやパンフレットだけで判断してはいけない

学校のHPやパンフレットの生徒の作例だけをみて、学校のカリキュラムを判断するのはおススメしません。

なぜなら、以下の可能性を捨てきれないからです。

  • 学校とは別の環境で上手くなった学生の作品を厳選して紹介しているだけ
  • あるいは、数年前にずば抜けて優秀だった生徒の作品を使いまわしている
  • 実際に学校のカリキュラムを通して成長した生徒は一人もいない


学校とは別の環境で上手くなった具体的な例としては、専門学校入学前に美大予備校でデッサンを学んでいたといったケースです。

他にも、学校に通いながら別の場所で毎週添削を受けていたといったケースもあります。(現在は、学生限定で3DCG作品のブラッシュアップを無料で受けられるところがあります。)

実際に僕の学校の場合、HPやパンフレットに載っている作例は、美大経験者や入学前にすでにある程度絵が描ける人の作品ばかりでした。(その上、5年以上前の卒業生だったりします)

生徒作品を公開しないのはプライバシーの問題ではなく、公開すると学校にとって都合が悪いだけ

今の時代、SNSなどで優秀な生徒作品を公開するのは学校側にとって良いこと尽くしです。

学校にとっては、専門学校を検討している人の目に多く触れたほうが、優秀な生徒が集まりやすくて助かりますよね。

なので、 作品を積極的に公開しない場合、「生徒の作品を公開すると学校にとって都合が悪いからしない」と思った方が良い です。

 

学校によっては、ひょっとしたら「生徒のプライバシーを考慮して見せられない」と主張するスタッフがいるかもしれませんが、その言葉を鵜呑みにする必要はありません。

なぜなら、生徒が学校を卒業した後も、その生徒の作品を学校の実績として利用できるように、学校側が生徒に対して、入学時に作品の使用について予め許可を取っていることが大半なので、生徒の作品を外部に向けて公開することに問題がない場合が多いからです。

❌ 生徒のプライバシーを保護するため

⭕️ 公開すると生徒の質の低さが露呈するため


 

以下のTwitterアカウントのように、学生作品を定期的に投稿している専門学校(あるいは機関)はいくつかありますので、専門学校を検討する際の検討材料の一つにしても良いでしょう。

設備投資にお金がかかっているかどうか

個人的に 設備投資にお金をかけていない学校はおススメしません。

なぜなら、学生にとって、「どういった環境に属するのか」 というのは、「どれくらい努力するかどうか」と同じくらい重要だからです。

学校の作業環境が充実していると、パフォーマンスを発揮できる

学校の設備投資にお金がかかっていて、学校の作業環境が充実していると、学校で集中して作品制作に打ち込めるので、以下のようなメリットがあります。

分からない所を講師やクラスメイトに質問できる

分からないことがあれば、 授業中や授業終わり、自習中などに講師やクラスメイトに随時質問できます。

ゲーム等の誘惑の少ない環境で作業できる

自宅とは異なり、ゲームや布団などの誘惑を受けることなく作品制作に集中する環境ができるので、作品のクオリティ向上に努めやすいです。

集中力を保ったまま取り組める

授業後に帰宅してから作業しようとすると人によっては結構疲れてダラダラしちゃうと思うんですが、学校で適度に緊張しながら自習できるとそういった懸念を無くせます。

設備投資にお金がかかっていない場合の具体的なデメリット

学校で作業できない

設備にお金をかけていない学校では、空き教室がなかったり、PCの動作が重かったりするので、学校内で快適に作業することが難しいです。

結果的に自宅での作業を余儀なくされます。

必要なツールを買いそろえる必要がある

学校のPCに必要なソフトが入っていない場合は、有償で自宅のPCにソフトをインストールする必要があります。

特に学費を必死に工面して入学した場合は、高価なソフトが必要になった時にすぐに購入することができないので、学校の環境が整っていないことが作品制作に悪い影響を与えると思います。

設備投資にお金がかかっているかどうかを確認する方法

認可校であるかどうか確認する

一番有効な手段は 認可校かどうかを確認する ことです。

正式に専門学校と名乗るためには、公的機関から設置を認可される必要があり、その条件として以下のものがあります。

  • 授業時間:年間800単位時間以上、夜間の学科は年間450単位時間以上
  • 修業年数:1年以上
  • 施設:原則的に、自己所有(特別な事情のある場合を除き、賃貸施設は不可)

引用元:専門学校の「認可校」と「無認可校」の違いとは?

つまり、無認可校として運営すれば、授業時間を減らすことで講師に払う人件費を減らすことができ、校舎を賃貸物件にすることで管理費を浮かせることができるわけです。

このため、よほどブランドがある無認可校を除き、 認可校にしないのは「設備投資を抑えて儲けを増やす」という学校側の都合によるものだと思っておいた方が良い です。

認可を受けていない機関は、「学校法人」や「専門学校」と名乗れないので、サイトで学校名を確認すれば一発で分かると思います。

教室のPC周りを確認する

モニターを確認する

2017年を前に業界標準のスペックを見定める CGプロダクション制作環境一斉調査では、デュアルモニターの利用者が一番多いという結果が出ているようです。
(「Q16:一人あたりのモニタ使用枚数は?」 参照)

こういったデータから、 業界において、デュアルモニターの需要が確かにある ことが窺えます。

ちなみにデュアルモニターというのは、下のようにPC一台に対してモニターが二枚付いているもののことです。


最先端の環境を謳っている専門学校であるのなら、モニターも最先端であるはずですよね。

なので、教室のモニターを確認してみて、 モニターが各席に1枚しかなかったり、モニターのサイズが極端に小さかったりすれば、学校側は設備投資を怠っている傾向があるといえます。

PCの性能を確認する

そして、 モニターと同じくらい大事なのが、PCの性能です。

なぜなら、PCの性能が低いと挙動が重くなるので、作業時間にロスが生じるからです。

とはいえ、3Dソフトを触ったことがない人にとって、入学前に学校のPCの性能の良悪を図るのは難しいので、 体験授業の際などに「学校でストレスなく3Dを作業できているかどうか」を在学生などに訊ね、リアルな声を聞くのがより確実 でしょう。

僕がデジハリに通ったことがないので実際の規模感は分かりかねますが、専門学校に入るのなら、下のツイート位に充実した環境(デュアルモニター&広い空間)を探しても良いと思います。

自習環境を確認する

「自習室は設けていないけど、空き教室があれば自習は可能」という学校の場合は、 入学を検討する前に教室の空き具合を具体的に確認しておくと良い です。

口頭で確認するとうまい具合に言いくるめられますので、できれば教室の割り振りが記された書類を実際に見せてもらうようにすると良いでしょう。

僕の学校は、入学前に「空き教室で自習できるよ」と聞かされていたものの、実際には、毎日朝から夕方まで全ての教室を使用していて、教室に空きができるのは午後6時~9時しかないという有様でした。

結果的に授業後に即自習できない日が多く、帰って自宅で作業する方が早かったです。

注意点:学費は参考にならない

「学費が高いとその分良い環境があるのだろう」と考えてしまうのが自然だと思いますが、学費を参考にするのは辞めたほうが良いです。

僕の学校は、日本でトップクラスに学費が高かったものの、具体例で書いたように酷い有様でしたし、実績のある有名校でも年間の学費が安いところは普通にあります。

まとめ:せっかく学校に入るからには独学以上の環境を手に入れよう

「努力をすれば報われる」という言葉は綺麗事でしかなく、「目標に対して、正当な努力を積み重ねれば自分の望んだ結果に繋がる」のが実際のところだと思います。

そして、自分がその反対側の 「間違った努力をしたがゆえに報われない人」になってしまわないように、講師やクラスメイトの助言を受け、道に迷うことなく突き進めるようにするのが専門学校に入る目的 だと思います。

なので、今回挙げた二点

  • カリキュラムが特化しているかどうか
  • 設備投資にお金がかかっているかどうか

に沿って、生徒の教育に対して明確なビジョンを持っている学校を見つけ出しましょう!


 

カリキュラムに関しては、「とりあえずなんでも良いから作品を作りなさい」と生徒に丸投げする学校よりは、「こういった理由で、初心者は○○から作り始めて次第に慣れていくのが良いよ」と生徒の成長段階を考えてカリキュラムを組んでくれる学校がおすすめです。

設備投資に関しては、生徒の学習環境を考えて、PCの性能や必要なソフト・自習環境の整備に力を入れている学校がおすすめです。


 

専門学校選びは自分の人生がかかっている重要な局面ですので、 学校の説明会だけで学校の実情が分からなかった場合は、在学生のTwtterアカウントを探し出し、 勇気を出してDMで聞いてみるのも手 だと思います。

それでは。