僕が専門学校に通っていた1年間でやったこと
今回は、僕が専門学校にいた一年の間にやったことを包み隠さずにまとめようと思います。
具体的には、記事内で以下のことに触れています。
- 僕がいつ何を作ったか?
- どういった考えに基づいて行動を取ったのか?
- 制作する上でどの本を参考にしたのか?
これからゲーム業界への就職を目指す方の参考になれば幸いです。
このページの目次
背景3Dを作ってみる
4月・5月:コロナで潰れる
見出しの通りです、以上です泣
6月:遊んで終わる
学校がコロナ対策で分散登校だった(&学校側のやる気がなかった)ので特に課題も出ませんでした。
そのため、
家でダラダラしたり、クラスメイトと授業後にカラオケやファミレスに行ったりして月の大半を過ごしました。
その他に個人依頼を一件受けたりしたので、6月に作品制作という面で作業が進んだのは下の設定画を描いたくらいです。
↑6月に唯一描いた3D用の設定画。合計で10時間程度。
7月:3D背景を作る
僕は入学前の説明会で「うちでは背景も3Dも学べますよ」と学校から聞かされていました。
しかし、ここに来て初めて「僕の入ったクラスでは、2D背景と3Dキャラをやるだけで3D背景はやらない」という詐欺紛いの事実を知ることになります…。
思わぬ形で自分のやりたい道が閉ざされ、打ちのめされそうになった僕でしたが、この時はまだ「環境に恵まれないからといって諦めたくない」という気持ちが残っていたので、 一度一人で背景モデルを作ってみることにしました。
とりあえず、学校で3D背景に精通している講師がいなかったので、ネットで調べたりして試行錯誤しながら制作に取り組みました。(学校の意味とは…)
Substance PainterというツールもDLして、分からないなりに作っていきました。
↑6月の設定画を元に、初めて作った背景モデル。
この時はソシャゲに依存していて、ゲームを毎日2,3時間やりながらの生活だったので、バイトをしていないのにもかかわらず1日3時間程度のペースで進めていていました。ただのバカです💦
ZBrushに慣れる
7月に3D背景を作ってみて、一人で調べるだけではクオリティの向上のための知識が圧倒的に足らないということを痛感しました。
しかし、かといって、学校に3D背景に詳しい人がおらず誰かに頼ることもできなかったので、完全に手詰まりでした。
学校で背景を本格的に学んでいる他校の就活生と就活で互角に闘える気がしなかったので、この時点で 背景モデラーを諦めてキャラモデラーを目指すことにしました。
3D背景は世界観の構築や物量の確保等のデッサン力以外の要素(1人だけでは磨きにくい要素)が求められましたが、3Dキャラモデルは既存のキャラを”比率通り”に作れば良いだけなのでゴールが明確でした。
この頃学校では、主にMAYAという3Dソフトを使ってポリゴンモデリングの授業が進んでいたのですが…
僕は「造形力をつけてからポリゴンモデリングに臨みたい」と思っていたので、授業の流れとは逆に 先にZBrushでスカルプトを練習することにしました。
8月:ZBrushで色々作ってみる
自分の足らない知見を補うため、制作するより前に、造形に関する本を読んで知識を仕入れることにしました。
この本の中では、「ディテールに取り組む前に、基本的なシルエットを抑える」ということの重要性が繰り返し説かれていました。
それを受けて、「とりあえずディテールの無い簡単な物から作ろう」と思い立ち、 ポケモンを3体ほど練習で作ってみました。
その後、慣れてきたので、筋肉構造の学習もかねて、本のメイキングをなぞりながら
狐と馬を作ってみました。
9月:ZBrushで模写をする
8月に5体ほどキャラを作ってみたもの、依然ZBrushの使い方がよくわかっていませんでした。
なので、手っ取り早くツールの使い方を知るために、3万円課金して「ZBrushの講座」を受講することにしました。
その過程で、講座内の課題として ドラゴンを模写しました。
↑講座を受けたことで操作面で分からないことがほぼ無くなったので、それなりに作れるようになった。
他には、解剖学の本を見ながら、自主的に
人間の筋肉を作ったりしました。
MAYAでローモデルを作る
↑上の画像はモデル作成の3か月後にリタッチしたもの。
ここまでの間MAYAでモデリングすることに食指が動かなかったのですが、学校で課題としてキャラモデルを提出する必要があったので、いいタイミングだと思い、ここで キャラモデルを作ることにしました。
10月:ローポリを一体作る
MAYAトレーニングブックの作例をなぞりながら作りました。
ここに来るまでにZBrushで練習していたおかげか、以前より簡単に形を取れるようになっていました。
11月:スキニング・リギングをやってみる
モデルを作ったので、 ポーズを付けるためにスキニングとリギングをやってみることにしました。
ここも、前述のMAYAトレーニングブックを見ながら進めました。
この辺りの作業は、モデリングに比べて複雑で難しかったです。
思った通りにいかないことが多く、問題の解決に日々時間を要しました。
そんなわけで、このときは「家で作業した後学校に向かい、授業後に講師を捕まえて分からないところを解決する」という生活を送りました。
ここで初めて学校に通っているメリットを実感しました笑
↑動かすためのボーン(骨)を入れた段階。
↑ポーズを付けやすくするためにリグ(コントローラー)を付けた段階。
複数のソフトを使ってハイモデルを作る
下の記事を読んだおかげで、この時点で「ローポリだけのポートフォリオではモデラーとしての就職は厳しい」ということを把握できていました。
それもあって、これ以降は
「細部まで作り込めることをアピールできる作品を作って他の就活生との差別化を図ろう」という考えに基づいて作品制作を行いました。
12月:騎士を作る
「鎧で質感表現をアピールでき、鎧の装飾で作り込みをアピールできる」という理由で1体目の題材には騎士を選択しました。
実物の鎧の参考資料が少ないことと、可動域を考えないと鎧同士がめり込むことから、結構苦労して作りました💦良い勉強になりました。
1月:ドラゴンを作る
騎士のデザインに時間を取られてしまったという12月の反省から、二体目は”デザインを考えなくて済む”版権物にしました。
この時は精神的に余裕がなかったので、特に深く考えずに作りたいキャラを選びました。
↑9月にドラゴンの作り方の講座を受けていたこともあり、順調に進んだ。
ポートフォリオを作る
この時点で、僕の通っていた学校から教われることはほぼ無かったので、学校を辞める意思が固まっていました。
なので、学校を辞める前に講師からアドバイスを貰っておけるよう、 なるべく早めにポートフォリオを作り始めることにしました。
1月上旬に、学内イベントに備えてポートフォリオのひな型を作っていたこともあり、制作は割と順調に進みました。
ポートフォリオのレイアウトは下の本を全面的になぞりました。
2月:既存作品のブラッシュアップをする
ポートフォリオを作っていく過程で、作品の中に、作りの甘さが露見してしまう箇所が多々見つかりました。
そこで、
ポートフォリオに載せられるクオリティになるよう既存作品のブラッシュアップを行いました。
同時に、作品の見栄えをよくするためにMarmoset Toolbagというレンダラーを買い、ポートフォリオ制作に使用しました。
改善例
↑顔が絶妙に可愛くなかったので、顔のテクスチャを描き直し、表情を付けた。
↑パースのかけ方や影の入り方を変えて、迫力が出るようにした。
↑Substance Painterの使い方を記した本が2月に発売されたので、その本を買ってそれを参考にしながら質感を向上させた。
3月:リアルなキャラを作る
ここまでで騎士やドラゴンなど色々なモデルを作ったのは良いものの…
キャラモデラー志望のポートフォリオにおいて最重要な、「リアルテイストで筋肉の構造が見える人体モデル」をこの時点でまだ用意できていませんでした。
そんな訳で、ポートフォリオが大方完成した後、 上記のキャラモデルを急遽作ることにしました。
モチーフはポートフォリオの完成度を上げることを目的に選定し、”好き”より”得意”を優先して作りました。
11月末に「造形セミナー」を受講していたこともあり、顔の造形は初制作にしてはそこそこ誤魔化せました。
4月~:その後
1月からポートフォリオの改善を重ねた結果、4月に大手2社の作品選考に通ったこともあり(後で面接で落ちましたが)、ポートフォリオに関してはやり切ったと感じていたので(あと燃え尽きていたので)、
4月以降は特に作品を新しく作るといったことはしませんでした。
「正直、ここから作品のクオリティを多少上げたところで、それに関係なく面接で落ちるところは落ちるだろう」という心境でした。
てなわけで、4月は
就職活動の提出用に書類を書いたり、面接を受けたり、就活の憂さ晴らしに週一でヒトカラに通いつめたりして終わりました。
4月中に無事内定を貰えたので、3月のポートフォリオに大きく手を加えることもなく僕の学生生活及び就職活動は終わりを迎えました。
おまけに:一年でも意外と何とかなった
はたから見れば、一年足らずで3D未経験から就職に繋げるのは結構難しいことのように思えるかもしれません。
しかし、僕は
「上手いこと立ち回れば短期間での就職は不可能ではない」
と思いました。
僕の場合、結果論ではありますが、成功要因として以下のものがあったと考えます。
- 絵を描いていたので入学時点である程度観察力があった
- 専門学校で課題よりも自主制作を中心に行った
- 似たものを作らないようにして、作品に幅を持たせた
- ポートフォリオに載せられるように、全ての作品を手を抜かずに制作した
要は、「入学前にイラスト等である程度基礎画力を養っておき、専門学校に入学してからは”作った作品を全て無駄なくポートフォリオに載せられるように”作品制作に打ち込む」ことが卒業までの時短のコツという感じでした。
行動次第では3,4年も専門学校に通わずとも短期間で結果を出すことは可能だということを、僕の実例を通して伝えることが出来れば幸いです。