【合同企画】リタッチで絵はどこまで変えられるのか

2019年9月9日

­みなさんこんばんは、kenです!

この記事では、リタッチを加えることでイラストがどのように変化するのかをお見せし、その後にリタッチの具体的な考え方や方法について解説していきたいと思います。

なんと今回はYouTubeTwitterで活動されているヤマモトアキさんに全面的に協力してもらい、絵をお借りすることができました。(サイト名クリックでアカウントに飛べます。)

アキさんはTwitterで13万いいね越えのイラストを投稿した方でもあります。
普段はクリーチャーや風景を中心に描かれています。

実際にどう変化したか

一枚目、こちらがアキさんの描き上げた作品になります。

二枚目、僕が三時間かけてリタッチしたものになります。

どうでしょうか…?

位置関係が整理されて見やすくなった印象を受けるのではないでしょうか…!!

さて、ここから本題の「実際にどのようにリタッチしていったのか」を包み隠さず解説していこうと思います!

どのように改善点を洗い出したか

今回はあくまで新規絵ではなくリタッチなので、

活かせるところは最大限活かしつつ、効率よく加筆していく必要があります。

そのうえで、あらかじめリタッチの方針を考えてから加筆することにしました。

パッと見て感じる違和感を洗い出す

まずは、パッと見て感じる違和感を洗い出しました。

イラストを見る目が肥えていようとなかろうと、人は絵として矛盾がある点に高確率で違和感を感じてしまいます。

(ここでいう違和感は世界観の統一感があるかどうかなどではなく、あくまで写実的に正しいかどうかです。)

一度違和感を感じてしまうとそこに意識が向き、絵の魅力に目がいかないなんてこともあり得ます。

なので、まずは以下の四点からパッと見て感じる違和感を出来るだけ論理的に整理していきます。

空間表現から洗い出す

まずは空間表現における違和感を洗い出します。

空間表現における遠近の表現は主に空気遠近法線遠近法の二つがあります。

空気遠近法の観点から、今回のイラストでは「生物の大きさに対して空気遠近法が弱い」ということに気づくことができました!

パースから洗い出す

先ほど説明した遠近法のうちもう一方の「線遠近法」の観点からイラストを見てみます。

すると今回のイラストでは、「道の大きさに対して人物が大きい」ということがわかると思います。

(草が茂っているので、細い道であれば草に隠れてところどころ見えなかったりしますが、今回のイラストだと道がしっかり見えているのである程度道幅の広い道だと推測できます。)

ライティングから洗い出す

次にライティング(光の当たり方)の観点からイラストを見てみます。

ライティングは「オブジェクトを空間に馴染ませる」「画面に統一感を持たせる」ための非常に重要な技法となるので重点的にチェックします。

すると、「近景と生物に光の当たり方が異なる」ことに気づくことができました!

質感から洗い出す

最後に質感から違和感を洗い出してみます。

今回のイラストだと、「草むらがのっぺりとした印象を受け、自然物が持つランダム感が足らない」ことが分かります!

イラストの「主役」を考える

次にイラストの主役を考え、このアプローチからも改善できそうな点を見つけていきます。

主役は1つに絞って考える

まずはイラストの主役を一つに絞ります。

というのも、人は相互関係をもとにイラストをみるので、主役が複数あればどれが主役なのか理解してもらえないことになりかねません。

(音楽で例えると、抑え目なAメロ→Bメロがあってサビが際立つのであって、すべてサビのような曲は聞きどころがわかりませんよね。)

今回は「巨大生物」を主役に据えます。

イラストのコンセプトを考える

次にイラストのコンセプトを考えます。

コンセプトというのは、「全体を貫く考え方」のことです。
イラストであれば、絵を通して感じてほしいものと捉えればよいです。

今回は、生き物の「壮大さ」をコンセプトに据えます。

主役を引き立てる方法を考える

先ほど今回の主役を「巨大生物」、コンセプトを生き物の「壮大さ」と決めました。

なので、次はそれを引き立てるにはどうリタッチしたらよいかを考えます。

情報を「減らす」箇所を考える

まずは情報を減らすところを考えます。

主役を明確にするため、主役以外で目立ちすぎている個所を削ります。

今回は「人物」「草原の手前側」の情報を減らすことに決めました。

(それぞれ「人物を小さくすることで生物の巨大さを感じさせるため」、「草原の手前を暗くして近景に目がいかないようにするため」です。)

情報を「足す」箇所を考える

次に情報を増やすところを考えます。

主役を引き立てるために加えられそうなものを考えます。

今回は「生物の足元に雲」「草原のディテール」を足すことに決めました。

(それぞれ「生物の足と空が同化するのを防ぐため」、「光源を明確にすると同時にリアリティを出すため」です。)

視線の流れを考える

最後に視線の流れを考えます。

今回は、「人物」「生物の頭部」が集まっていることもあって、画面左中央部に視線を集めたいと思います。

そこで、「画面右端を覆う雲を描き、右端を暗くする」、「生物の体と雲の向きで左に収束する流れを作る」ことで目線誘導がスムーズにいくようにしました。

改善点の洗い出し方のまとめ

ここまでの情報をまとめると、イラストの改善点の洗い出し方は

・パッと見て感じる違和感をまとめて洗い出す

・主役を明確にするために変えられる点を洗い出す

この二点でした。

そして、今回のイラストで見つけた具体的な問題点は主に

生物の大きさに対して空気遠近法が弱い

道の大きさに対して人物が大きい

・近景と生物の光の当たり方が異なる

草むらがのっぺりとした印象を受ける

・生物が主役だと分かりづらい

の五点でした。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

次ページで、実際にどのようにリタッチしたかを描いていますので、そちらも是非目を通していただければと思います。