背景が上手くなりたい人におすすめ!背景の描き方の基礎が分かる参考書3選

2020年8月20日

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背景が描けないし、描き続けても上手くなる気がしない。キャラは描けるのに…

という風に、背景が描けるようになりたいけど、なかなかうまくならず苦手意識を持っている人は意外と多いのではないでしょうか?


僕も昔はそうでした。

背景を描けるようになりたいと思っていたものの、なかなか描き方が分からずにキャラクターを描いてばかりでした…

ですが、そこから背景を二年間描き続けたことにより背景の仕事を貰えるレベルに上達させることができました。


どうやって二年間で背景を上達させることができたのか?

結論から言うと 「参考書を使って内容を実践することで、効率的に勉強できたから」 です。

そこで今回は「背景を描けるようになりたい」という人向けに、僕が実際に買ってよかったと思う参考書を三冊紹介します。

学校では教えてくれない風景スケッチの法則

僕が初めて読んだ背景の本がこの本でした。

高校生の時に、背景を描きたくなって美術部の本棚から借りたのを覚えています。


それはさておき、本の紹介を…。

この本の最も素晴らしいところは、 背景の本質的な部分に触れてくれている 所です。


例えば、木の描き方や岩の描き方など、個別のオブジェクトの描き方について書かれている本は結構ある印象です。

でも、そういった本を参考にすると、背景の描き方については触れられていないため、描き方の書かれていないオブジェクトを描くときは、あまり参考になりません。


ですが、この本はそれだけではなく、 複雑な構造物をシンプルに捉える方法や、色や影の考え方など背景全般に共通する考え方について解説してくれています。

なので、この本の知識は背景を描くときに幅広く応用することができます。

この本のおススメのポイント

実践的な内容が必要最小限にまとめられている

この本は風景スケッチにおいて重要な14の法則について書かれています。

「少ないな」と思う方もいるかもしれませんが、僕は逆に「必要な情報が上手にまとめられている」と思います。

分厚い本程、「内容が多すぎて、かえって記憶に残らなかった」となってしまったりしませんか?

この本では、そういったことがないので、しっかりと読み込めば効率的に重要な法則を身に着けることができます。

2作品のメイキング付き

この本には、著者が描いた二枚の絵のメイキングも載っています。

実際の風景から配置をアレンジして、より魅力的な構図にする方法などについても描かれています。

豊富な作例が載っている

この本には著者が描いた数十枚の風景スケッチが載っています。

なので、本に書かれてある法則が、実際にどのように絵に使われているのかを確認することができます。

この本のデメリット

デジタルツールの使い方については書かれていない

この本は、水彩絵の具を使った絵の描き方について書かれているので、デジタルツールの使い方については一切触れられていません。

もちろん、この本の内容はデジタルで絵を描く際にも応用できます。

ただ、デジタルでの絵の描き方を知りたい人や、創作の考え方を知りたい人には物足りないかもしれません。

創作の考え方について書かれていない

この本は風景スケッチについての本なので、「現実の風景をいかに魅力的に描くか」に重きが置かれています。

なので、ファンタジー風景を描くときの考え方などは書かれていません。

創作好きな人にはあまり向かないかもしれません。

まとめ:水彩で現実の風景をスケッチしたい方向けの本

水彩の説明などにも重きが置かれているため、「水彩で現実の風景を描きたい人」には非常におすすめの本です。

著者はTwitterもされているようなので、本の内容が気になる方はそちらも参考にすると良いかもです。(本の内容に近い描き方解説が投稿されています。)

「キャラの背景」描き方教室

この本は「デジタルで背景を描きたい、でも描き方が分からない…」と悩んでいた僕に、間違いなく革命を起こしてくれた本です。

僕はこの本に背景を描くきっかけを貰い、背景を楽しく描けるようになりました。

僕が、大学を辞めて絵の専門学校に入ってイラストレーターを目指すことを決意できたのも、この本に「背景は方法さえ知れば難しくない」ということを教えてもらえたからです。

「デジタルで背景を描きたいならとりあえず買っとけ」って言ってしまうくらいにはお勧めの本です。


では、この本の紹介を…。

この本の良いところは、 「プロが下書きから背景を仕上げていく過程を惜しみなく載せている点」 です。

完成像だけではなく、試行錯誤の過程も細かく残されているので、絵を考えるうえで非常に参考になります。

背景の描き方が全く分からなくても、この本を読めば背景絵完成までの道のりがかなりクリアになりますよ。

この本のおススメのポイント

メイキング形式で分かりやすい

そして、絵の描き方がメイキング形式で細かく解説されているので、それを真似ながら描くことで背景が自然と上手くなるのが良い点です。

メイキングは8作品分あり、キャラの背景から室内背景、壮大な背景までさざまなジャンルを網羅してあるので、絵を描くときに作例を参考にしやすいのも大きな魅力です。

特典で特製ブラシがダウンロードできる

特典として、本の購入後に作画過程ファイルや特製ブラシをダウンロードできます。

特製ブラシは、初心者が扱いやすいよう調整されているので、デジタルで背景を描くのがかなり楽になりますよ。

ブラシのサイズや不透明度が書かれてある

絵を描きはじめの時は、ブラシの種類・サイズ・不透明度が分からないと「これでいいのかな」と不安になりがちだと思います。

この本ではその辺もよく考えられていて、大事なところはブラシのサイズや不透明度が書かれてあるので、迷うことなく絵を描くことができます。

模写の公開が許可されている

この本では模写の公開が許可されています。(あとがきに明記されています。)

「模写は公開できないからやりたくない」という人にも配慮された親切設計です。

この本のデメリット

描き方が新鮮で慣れるまでは少し大変かも?

これは特にデメリットというほどのことではないのですが、この本では、キャラを描いているときにあまり使わない画法(グリザイユ画法)で背景を描きます。

なので、グリザイユ画法で描いたことがない方は、慣れるまでは少し大変かもしれません。(といっても一か月毎日一時間程描けば慣れます。)

本を読んだだけではすぐに上手くはならない

この本は、背景を描く一通りのフローや、背景を描くうえで重要なことは教えてくれますが、背景はそれだけでは急激には上手くなりません。

描きたいように背景が描けるようになるためには、この本の内容を意識しながら、経験を重ねていかなくてはなりません。

なので、「上の話を見ても、それでも背景が描けるようになりたい…!」と思えない方にはあまりおススメできません。

(これは、この本に限らず、です。)

まとめ:デジタルで背景を描きたい人に方向性を示してくれる本

「デジタルで背景を描けるようになりたい!理想の背景を描けるようになるために背景を描き続ける!」…そんな方に是非ともおすすめしたい一冊でした。

最初は慣れない描き方に戸惑うかもしれませんが、そこさえ乗り越えたら楽しい背景絵描き生活が待っています。

実はこの本、冒頭部分を試し読み(外部リンク)することができます。

試し読みすれば、きっと目から鱗が落ちること間違いなしです。

アニメーション美術

この本は、最近復刊した本で、Twitterで背景イラストレーターが揃って絶賛していたので買ってみました。

先ほど紹介した二冊は本質的な部分にも触れていますが、どちらかというと描き方の解説的な面が強いです。

それに対してこの本は本質的な部分に全振りしたかのような内容でした。

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絵が上達してくると、「自分の絵、なにか足りていないな」と思ってくると思います。

僕も最近そう思うのですが、その原因は「デッサン力(観察力)が足りていないから」なんですよね。

この本は、そういった人が 基礎をしっかりと学び直すのにおススメの本です。

例えば、「石ころ一つにも限りない思い入れでかかわりなさい」(※意訳)のようなハッとさせられるようなことが書かれています。


背景の考え方の基礎を固めたい人に是非一度読んでもらいたい一冊です。

この本のメリット

厳しく、本格的に考えを学べる

最近だと、初心者向けに間口を広げた本が多いと思うんですが、この本は逆です。

「本気でプロを目指す人ならわかってくれる」という前提で書かれています。

なので、少し厳しい分、(写生や模写の重要性など)「著者が本当に伝えたい事」を学ぶことができます。

基礎から丁寧に説明されている

この本では、著者が基礎の大切さを説いていることもあって、立方体の描き方や影のつけ方などの基礎な部分も要点を押さえて丁寧に説明されています。

なので、絵の基礎を固めたいという人にはこの本が一番かもしれません。

この本のデメリット

最近の本に比べれば少し不親切

この本は1986年に刊行された本を復刊したものです。

なので、内容自体は有益なものの、文章の装飾が抑え目だったり、冒頭以外モノクロだったりと最近の本に比べれば少し読みにくいです。

活字が苦手な方だと少し大変かも…。

逆に、言語的に絵の考え方を理解したい人には向いています。

時代背景を考えて読まないといけない

この本が初めに刊行されたのは、34年前です。

なので、長年変わらない絵に関する知識はこの本を参考にできますが、時代の変化とともに変わっていく価値観については、この本を鵜呑みにしない方が良いかもしれません。

ハードカバーなせいか少し値段が高め

この本がハードカバーなせいか、復刊なせいかは分かりませんが、150ページ前後で冒頭以外がモノクロなわりには、他の本に比べると高めの値段設定がされています。

まとめ:絵の基礎を固めたいストイックな人向け

本の内容は役立つものが多いですが、絵の心構えについて書かれたものが多いので、どう絵に生かしていくかが課題な気がします。

とりあえず、初めの一冊としてはあまりおすすめできません。上の二冊辺りを買ってみて、より本質的な部分を知りたくなったときに購入を検討してみるといいかもしれません。

まとめ:本の内容を実践すれば上手くなる

以上が僕がおススメする参考書三冊です。


こういった技法書を活用するコツですが、 とにかく実践することが大切 です。

結局絵が上手くならない人の大半は「正しい描き方を知らない」もしくは「技法書を読めばうまくなると勘違いして読むだけで満足してしまっている」のが原因と思います。

なので、参考書の技法を取り入れて地道に絵を描き続ければ、まわりと差をつけられます!


背景を描けるようになると、描けるものが広がって今まで以上に絵を描くのが楽しくなりますよ。

それでは~