ゲーム業界に入るなら専門学校ではなく大学に進むべし。その理由を解説します

2022年2月14日

Left Caption
ゲーム業界に入るなら専門学校、専門学校なら本格的に学べる

最近、そういった情報を目にします。
でも、本当に専門学校に行かないとゲーム業界に入れないのでしょうか?

答えはNOです。 別に専門学校に通わずともゲーム業界には就職できます。
むしろ大学を出た方が就職しやすいくらいです。


この記事では、大学を辞めて専門学校に入ったものの期待通りの環境を得られず、結局専門学校を1年で辞めて高卒既卒として就活した僕が、 実体験を元に以下のことについて紹介しています。

  • 「ゲーム業界=専門学校」ではない理由
  • 大学に通いながら業界を目指す方法
  • 専門卒になることのデメリット
  • 状況別におすすめの進路

作品のクオリティを気に病んで専門学校に決めなくてもよい

「正直、大学に通いながら作品を作っても、クオリティ不足で専門学生に負けないか心配…」とこういった方も多いんじゃないでしょうか。

でも、そこまで深刻に悩むことはなく、大学に通っても人並みに努力すれば普通に業界に入れます。

その根拠を、僕の実体験から3つ紹介しようと思います。

①就活においては、作品よりも学歴が重要

企業というのは利益を追求する組織なので、 少額の投資で莫大な利益を生み出す人材を欲しています。

なので、新卒採用において企業が重視しているのは以下の二点です。

  1. マナー面・作品面で教育コストがかからないか
  2. 短期離職せず会社に長期的に恩恵をもたらしてくれるか

大卒であれば、「サークル活動や研究室でコミュニケーション能力が鍛えられている」と思ってもらえるため、①の点で有利で、

4年間単位を集めて学校を卒業したという事実から「ストレス耐性が高く長いこと働いてくれそう」と思ってもらえるので、②の点でも有利です。

要するに、 大卒であるだけで人格面での懸念は抱かれないというわけです。

僕は大学で絵を学べない危機感から、中退して専門学校に乗り換えましたが、振り返ってみると杞憂でした。

就活においては、専門学校に入ってスキルを手に入れるよりも、大学に入って学歴を手に入れる方がはるかに有利に働きます。


補足的に、就活における会社側の判断基準をまとめると、下図のようになります。

②結局最後は独学で上達することになる

専門学校の授業は進みを全体に合わせる(生徒の自習状況を考慮しない)ので、ソフトの基本的な使い方を説明したり、教科書の内容を表面的になぞったりするくらいのもので終わってしまいます。

なので、結局そこから先の内容は、授業とは別に自分で調べてカバーする必要があります。

つまり、入門書を読みながら3Dソフトの使い方を理解するという段階さえ自力で克服できてしまえれば、専門学校で教わることはそこまでないというわけです。

③本気で行動するなら短期間で成果を出せる

作品作りにおいて一人でこなすのが最も難しい部分は、”様々な視点を持ち、自分の作品の質を客観的に向上させること”です。

なので、ほとんどを自学自習で済ませ、一人ではできない部分のみを学校などに頼れば、 短期間で成果を出すことは可能です。

現実的なプランとしては、”大学3年になるくらいまでは独学で作品制作をして、就職活動1年前くらいから大学と並行して別の学校・機関で作品の添削と就職サポートを受ける”といったものです。

大学に通いながらでも現実的に業界を目指せる

先ほど、 “一人ではできない部分のみを学校などに頼れば大学に通いながらでも成果を上げられる”と書きました。

そこで、次は”実際にどういったやり方があるのか”を紹介したいと思います。

具体的に、僕が現実的だと思う方法は以下の三つです。

  1. 就職サポートを受ける
  2. プロのコンサルを利用する
  3. 短期の無認可校に通う

今回例として挙げるものはどれも学校ではないので、大学と同時に利用しても2重学籍にはならず合法です。

①就職サポートを受ける

一つ目は、クリエイティブアカデミーという、就職先の斡旋を条件に無料で作品添削&就職サポートを受けられる機関を利用するという方法です。

お金が一切かからないのが強みですが、選考に通らないと受講できない点や最悪の場合派遣社員採用になる可能性がある点がデメリットです。

②プロのコンサルを受ける

二つ目はプロの方のコンサルを受け、定期的に作品のフィードバックを貰って就職活動に臨むという方法です。

専門学校よりは安く済みます(数千円×相談回数)が、お金を払った瞬間しかサポートが受けられないのである程度自分で行動していく必要があります。

③短期の無認可校に通う

最後は、デジタルハリウッドの本科CG/VFX専攻等、短期の無認可校に通う方法です。

今回上げた手段の中で最もお金がかかります(100万円程度)が、目立ったデメリットはないです。


ちなみに、僕の場合は、3年間独学で絵を描いてから、3DCGの専門学校に1年くらい通って就職しました。

僕も優秀な方ではなかったので、今回挙げた方法は、やる気さえあれば他の方にも十分可能な方法だと思います。

専門学校は決して万能ではない

①環境がイマイチならむしろ足枷になる

学校によっては、授業が本当に役に立たなかったり、学校の作業環境が整っていなかったりして、授業に出るよりも自宅で作業している方が効率的だったりします。

ただ、仮にそういった学校に入ってしまっても、新卒として就活するためには卒業しなくてはなりません。場合によっては卒業のためだけに学校に通うというようなことになってしまいます。


でも、卒業のためだけに学校に通うのであれば、それなりに時間を拘束される上に卒業資格が役に立たない専門学校に通うより、割り切って近場の大学の緩そうな文系学科に入ってしまった方が、学歴面・時間確保の面の両方で良いです。

②学歴だけで採用を見送られることがある

会社は一人ひとりを見る労力を惜しむので、「大卒はコミュ力・教養が高い」「高卒はマナーが悪そう、ストレス耐性が無さそう」といった風に形式的に人を判断します。

実力は十分なのに、 学歴だけで落とされるというようなことが起こり得ます。

③給料が低い

専門卒は初任給が18~20万円のところが多く、大卒の20~23万円と比べるとかなり隔たりがあります。

給料が低いと以下のようなデメリットがあると考えます。

  • 金欠でソフトに投資できず、自己研鑽や転職が難しくなる
  • 待遇の悪さに耐えかねて離職するリスクが増す
  • 無能で好待遇な同期がいるとモチベーションが下がる

置かれた状況別におすすめの進路を紹介

上記のことを踏まえたうえで、進路を決めるなら以下の三つのうちどれかを取るのが賢明だと思います。

  1. 大学卒業+短期で別機関で学ぶ
  2. 4年制の専門学校に通う
  3. 2年制の専門学校に通う(おもに就職歴のある方)

①大学卒業+短期で別機関で学ぶ

先ほど紹介した、大学に通いながら独学で作品を作り、就職前だけ短期で別機関で学ぶ方法です。

この方法が一番堅実だと思います。大卒資格が手に入るので、途中で業界就職を諦めても普通に就職でき、親への説得もしやすい点で落としどころとしては完璧で、汎用性が高いといえるでしょう。

<こういった人におすすめ>

  • 専門学校に通うことに対して親の承諾が得られない
  • 万が一に備えて別の選択肢を持っておきたい

②4年制の専門学校に通う

4年制の専門学校で本格的に学ぶ方法です。

進路としては一番恵まれていて、どの選択肢よりもじっくりと作品制作に向き合えるので、 授業料が捻出できるのであれば選んでおいて損はないと思います。

業界に就職することがほぼ確実な人にとってはベストな選択肢だと思います。

<こういった人におすすめ>

  • 趣味でも満足のいく作品を作れるようになりたい
  • 進路を曲げない覚悟がある

③2年制の専門学校に通う

2年制の専門学校に通う方法です。

正直、2年という短い期間では就職するのがやっとで、納得のいく作品作りはできないと思うので、個人的におすすめはあまりできません。

一度就職した人が再度新卒として就活したい場合や、早く実務経験を積んで仕事で出世したい場合など 目的を持って選択するならありだと思います。

<こういった人におすすめ>

  • すでに就職経験があり、新卒枠だけが欲しい
  • 早く業界に入って実務経験を積みたい

まとめ

今回伝えたいことを要約すると、以下のようになります。

  • 親のスネをかじれるなら4年制の専門学校に行っておけ
  • でも、自分で奨学金を借りたり大学を中退してまで行くほどの価値は専門学校にはない
  • 計画的にやれば専門学校に行かなくても絶対就職できるから、間違っても焦りから入学してはいけない

過度に専門学校を美化せず、なるべく現実的な視点から情報を紹介することを心掛けてみましたが、いかがだったでしょうか。

今回紹介した3つの方法は、僕の中で最も賢明で現実的なものを選んだつもりですが、 僕の視点にバイアスがかかっていることも、人によってベストな選択肢は異なることも事実です。

この記事の内容を鵜呑みにせず、自分の進路を考えるきっかけ程度に捉えていただけると幸いです。


このブログではほかにも、専門学校の選び方や、専門学校選びの重要性をまとめていますので、よろしければページ下の関連記事等にも目を通してみてください!

それでは。