陰影のつけ方が格段に上手くなる!グリザイユ画法での描き方とコツを紹介

2020年5月10日

グリザイユ画法…。

この画法をご存じでしょうか?

この画法を使うことで、写実的で自然な光の表現が可能になります。

その上、なんと背景や厚塗りを描くのにも役立ちます!

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Ken
みなさんこんにちは。
kenです。

今回は、 グリザイユ画法での描き方 をご紹介します。

  • グリザイユ画法ってどうやって描くの?
  • グリザイユ画法で描く際に意識するべきことは?

というあなたの悩みを解決します。


さて、今回は下の画像を模写していきます。

では、さっそく見ていきましょう!

大まかに明暗をつける

まずはキャンパス全体にグレーで色を乗せていきます。

ポイントは 「真っ白・真っ黒を極力避ける」 ことです。

現実で真っ白に見える部分は、「目に見えているもののうち、もっとも明るい場所」です。

つまり、金属のハイライトや光源の「白く色が飛んでいる部分」にしか使わないのが基本です。多用を避けましょう。

物の形が大体わかるくらいまで描いたら次のステップに行きます。

白黒でさらに描きこむ

次に白黒のまま描き込んでいきます。

色をのせるときにはあまり明度を調整できないのでこの段階である程度完成させましょう。

特に色彩感覚が磨かれていないうちは、色を塗る前にここで描きこんでおいた方が後々楽です。


描き込むといっても何をすれば分からないという方のために、僕が普段意識していることを四つ紹介しましょう。

­コントラストをしっかりつける

人によっては、実際にはコントラストを弱くつけてしまう人もいます。

そういう方は、 「一番明るい場所・一番暗い場所を塗ってから」間を埋めていくとよい でしょう。

下図のようなイメージです。不透明度を下げたブラシか、混色機能のあるブラシを使いましょう。

今回の写真では、最明部の明度は100、最暗部の明度は7です。

嘴の先などを先に塗ってしまうと、コントラストが弱くなることを避けることができます。

実際の色にとらわれすぎない

白色より黒色のほうが暗いと思いがちですが、 光の当たり方によっては関係が逆転すること もあります。

「○○色だから明るい/暗い」とまとめて考えず、しっかりと明度を見極めましょう!

例えば、上の画像では、日向にある黒いタイルのほうが、日陰にある白いタイルよりわずかに明るいです。

不透明度を下げてブラシを使う

パッと見てその部分の明るさが分かる人はそういないと思います。

なので、不透明度を下げて(70~90%くらい)ブラシを使い、スポイトツールを使いながらキャンバス上から色を取って描くと、狙った色を出しやすいです。

境界をくっきりさせる

今回は線を使わずに描きましたが、線を使わない場合はその分、境界部分をはっきりさせる必要があります。

今回のイラストでの鳥と遠景のように、別々のもの同士の境界線は不透明度の高いブラシではっきりと描きましょう。

オーバーレイで色をのせる

合成モードの「オーバーレイ」を使って色をのせていきます。

­この作業では、「色相」と「彩度」を決めます。

ポイントは 「試行錯誤しながら丁寧に色を選ぶこと」 です。

オーバーレイによる色の変化は少し特殊なので、それらしい色になるまで何度も試行錯誤を重ねましょう。

また、同じ色に見えても、光の当たる部分と日の当たらない部分では色相が異なる場合があります。

参考資料を観察して色相を見極めましょう!


分かりやすいようにレイヤーを分けると、下図のようになります。

オーバーレイレイヤーのつくり方

オーバーレイレイヤーの作り方を知らない方のために、クリスタを例に作成方法をまとめておきます。

初めに、「レイヤー一覧」から「通常」と描かれた部分を選びます。

次に、「レイヤーモード一覧」が表示されるので、「オーバーレイ」を選びます。

ほとんどの描画ツールで似たような仕組みになっているので、普段から絵を描く方はすぐにわかるはずです!

(レイヤー選択画面に上のように「通常」と書かれたボタンがあるはずです。)

細かい部分を描き込んで調整する

最後にオーバーレイレイヤーの上から、さらに描き込んでいきます。

ここで、「白黒で明暗をちゃんとつけたのに描き込む必要なんてあるの?」と思う方がいるかもしれませんが、ここで描き込むのにはちゃんと理由があります。

それは 「オーバーレイを使っても全ての色をのせられるわけではないから」 です。

オーバーレイを使うと簡単に色をのせることができますが、必ずしも思い通りに色がのるわけではないです。

というのも、オーバーレイを使って色をのせると「明るい部分はさらに明るくなり、暗い部分はさらに暗くなる」という性質があるため、 明度が高い部分と低い部分で色が乗りにくい からです。

一枚目が参考写真、二枚目が描き込む前(③)の状態の絵です。

特に、欄干(画面左下の手すり)のあたりで絵の方が色がくすんで見えるのが分かるかと思います。

「くすんでいるな」と感じる箇所などがあれば、オーバーレイレイヤーの上に通常モードを作り、色をのせていきましょう。

ポイントは、特に、高明度・低明度の部分で 彩度に幅を持たせる事です。

上の画像は、描き込んだレイヤーを分けて表示したものです。

描きこんで、部分的に彩度をあげているのが分かるかと思います。

(首回りの羽毛や、欄干などを重点的に加筆しています。)

色が上手く選べない方は、写真を読み込み、スポイトツールで色をとると上手くいきます。

最後に

以上、グリザイユ画法についてのメイキングでした。

「へぇ~、オーバーレイを使うとこんなに簡単に色が乗るんだ~」

と感心した方もいるんじゃないでしょうか?

最後に、今回のメイキングのまとめを書いて、終わりにしたいと思います!

 今回のメイキングのまとめ 

  1. 初めは、細部をこだわらずにざっくり描く
  2. 次に、白黒のまま描き足し、絵を整えていく
  3. オーバーレイレイヤーで色をのせる
  4. 最後に、色がうまく乗らなかった箇所を加筆する

今回の過程gifになります。

それでは~