ゲーム業界の面接を切り抜けるために知っておきたい事

2021年8月14日

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Ken
初めまして、専門学校を1年で中退⇒ゲーム会社に3Dモデラーとして就職したkenです。

みなさんはゲーム業界の就職活動に対してどんなイメージを持っていますか。

「ゲーム業界は作品選考があるので、作品選考を通過すれば面接で落とされることはあまりないだろう」

こう考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際僕が就職活動を通して受けた印象は全く別の物でした…。


 

今回は、就職活動で数社面接を受ける上で僕が感じたこと・気づいたことを整理してみました。

具体的には、以下のことを紹介していきます。

  • ゲーム会社が面接を行う意図
  • 面接と作品選考の関係性
  • 面接の具体的な対策方法


これから就職活動に臨む方が、ニュアンスを掴むきっかけになれば幸いです。

ゲーム会社が面接を行う目的

面接というと、「人柄に問題がなければ大丈夫だろう」と考えてしまう人いるかもしれません。

しかし、ゲーム会社の選考において面接はお飾りではなく、 人柄に問題がいなさそうに見える人であろうと、ガンガンふるいにかけていきます。


 

具体的には、以下のような理由で企業側が選考を見送ることが多いらしいです。

  •  なぜ働くのかが明確ではない 
  •  自分のことを質問しているのに回答できない 
  •  作品は良いが、一緒に働きたいと思えない 
  • 本人のやりたい事と会社のやってもらいたい事がマッチしていない

※就活サイトより引用

要は、面接官は、学生に対して少しでも「価値観が合わない」と感じればそこでその学生を落とすというわけです。

そうして、最終的には 採用において懸念事項が全くないような、将来的に企業の色に染め上げていけそうな人のみを残していきます。

採用において、面接を複数回設けて執拗に学生の考えを確認する企業が多いのですが、それには上記の意図があると僕は推測します。


以上から、面接においては”価値観の違いを一ミリも感じさせないような、会社の考えに沿った受け答え”が求められるので、 作品が良かったら即採用ということは無い と思っておいた方が良いです。

ちなみに、「ゲーム会社に就職するのは難しい」とよく言われますが、僕個人としては、”作品選考を通過するよりも面接を通過する方が難しい”と感じました。

内定を貰えるかどうかはただの運

ゲームクリエイターズの記事によると 人気企業であれば求人倍率は数十倍 と推定されるみたいです。

こういった現状もあって、企業は「とりあえず作品選考は作品が良い奴を一定数通して、面接でたまたま価値観が合う人だけを厳選すれば良いだろう」という風に、学生への事前説明に対してあぐらをかいています。

なので、”価値観”がわずかでも違えば学生を落とすのにもかかわらず、理不尽にも自社の持つ”価値観”を具体的に掲載せず、当たり障りのないことしか書かない企業が多いです。

そのため、 説明会に参加したり企業のHPを見たりしても、企業理念や「企業が就活生に求めているもの」が詳細に把握できることは無く、完全に面接対策ができるわけではありません。

故に、 内定を貰えるかどうかはほぼ運 みたいなものと思っていたほうが良いです。

就活生がわりと知らない3つの事実

ゲーム会社は作品クオリティを重視していない

リアル路線のゲームのみを作っている一部の企業を除き、ほとんどのゲーム会社は 作品クオリティをそこまで重視していません。

新卒採用の時点では、「ポートフォリオにおいて”物の基本的な形”がとれていれば、企業から学生に対する”就業後の技術面での不安”は払拭されるので、ずば抜けて上手くなくても作品選考の通過要件は満たしている」という感じです。

 

つまり、企業の作品選考を通過する実力があれば、 仮に並外れたクオリティの作品を作れていても、そのことが後の選考において大きくプラスに働くことはない といえます。

面接は作品クオリティに関係なく全力で対策する必要がある

上に書いた通り、作品が企業の採用基準を満たしてさえいれば、そこから先の選考において作品の巧拙が採否の判断に大きく響くことはもうありません。

そのため、一次面接以降の選考においては、「学生側の価値観・やりたい事が企業とマッチしていて、入社後すぐに辞めることなく長期的に企業に利益をもたらしてくれるのか」を重点的に見られます。

ゆえに、仮に作品に自信があっても、一次面接に臨む際は、 まっさらな気持ちで、全力で面接対策しなければ落とされてしまいます。

結局最後は学歴

ゲーム業界というだけで「その他の業界とは採用基準が違うのかな?」という印象を持つ方も多いと思いますが、そんなことはありません。

なぜなら、 採否を決めるのはクリエイター経験の無い人事だからです。 なので、作品を完成させるまでの苦労や作品の巧拙が理解できない人々に、学歴があるか、愛想がよいか等の作品と関係ない部分で勝手に値踏みされます。

面接で意識するべき5つのこと

対策1:自分が企業にマッチしていることをアピールする

企業側は長期的に働いてもらえることを見込んで採用活動を行っているので、内定後もしくは終業後に「なんとなく入ったけどやりたいことと違ったから辞めよう」と思われる事を非常に恐れています。

そのため、 企業のことを入念に調べてきていることをアピールできれば、マッチングの面での懸念を払拭でき、このことが選考に有利に働く わけです。

エントリーシートや面接を通して志望動機を繰り返し訊ねるのは、学生側が”なんとなく志望しているかどうか”を見極めるため、そして”企業の求めているものが学生の得意な部分とマッチしているのかどうか”をじっくりと探るためです。



具体的には、以下の二つを具体的に答えられると好印象だと思います。

志望動機

「特定のゲームタイトルが好き」という方向に持っていくよりは、「自分の得意な部分が企業の求めているものとマッチしている」という部分を全面的に押し出す方が良いと思います。

関わってみたいプロジェクト

応募するゲーム会社の代表タイトルの中で、自分が将来関わってみたいタイトルを一つ言えるようにしておくと良いです。ひとつも言えないと下調べが甘いと思われ、印象を損ねてしまいます。

昔はコンシューマーに力を入れていたが今はソシャゲに力を入れているといった風に、昔のイメージと企業の現状が異なっている可能性もあります。

転職サイトの口コミを見て、応募する企業の社風や企業が現在力を入れている部分などを把握しておくと確実です。

対策2:言いたい事ではなく、向こうが聞きたいことを答える

企業側は「学生のやりたいことが自社とマッチしていて、自社で成果を上げてくれそうか」を大変重視しています。

そのため、面接で有利に進むためには、 企業からの質問に対する回答を全て”自分が会社に貢献していける事をアピールできるもの”にする必要があります。

例えば、会社から自分の強みを聞かれた際には、「企業がどんな回答を望んでいるのか」を念頭に置いた上で受け答えをしないと、その認識の差を採用上のリスクと捉えられて落とされる可能性が高いです。

具体的な考え方

具体的には、質問の回答を考える際に「 質問の頭に”弊社で働くうえで”という接頭語をつけて質問してきている」という風に認識すると、質問の意図をイメージしやすい です。

例えば、「あなたの強みは?」と質問された際は、実際には「(弊社で働くうえで)あなたの強みは?)」といったニュアンスで質問されているといった具合です。

❌(あなたにとっての)あなたの強みは?

⭕️(弊社で働く上での)あなたの強みは?

このように聞かれたのならば、ここで 自分自身が感じる”自分の強み”ではなく、”自分がその企業で働く上でいい方に働く部分”を答えなければならない ということが実感できると思います。

企業側は、就活生を将来の会社の駒としか捉えていません。

いずれにせよ、入社後しばらくの間やりたい案件は回ってこないので、面接の際は”我が強くなく、仕事を選り好みしなさそうな奴”と思わせておけば良いです。自分のやりたい事ができそうな企業を選ぶのは複数内定を貰ってからでも遅くはありません。

僕の場合

僕の場合は、自分では「質感が好きでリアル系の作品が得意なのが強み」だと自分では思っていたのですが、企業側からは「背景やキャラなど何でも卒なくこなせそうなのが強み」と思われていたようです。

なので、「質感表現が得意なのでリアルテイストに挑戦していきたい」といえば落とされて、「色々なことに取り組めるのが強み」といえば通る感じでした。

対策3:芸術家肌な人と思わせない

クリエイターには“芸術家”“職人”の2つのタイプの人間がいます。

芸術家とは内なる欲求に突き動かされて表現をするものですが、職人は他者からの注文を受けて、それに応えるために制作を行います。

引用元:「芸術家」と「職人」の違いはどこにあるのか?


そして、 ゲーム会社は前者の”芸術家”に対して嫌悪感を抱き、選考において徹底的に排除します。

なぜなら、ゲーム会社はクライアントやユーザーの求めるものを作ることが多いので、個人個人のモチーフに対するこだわりや偏りは邪魔でしかないからです。


なので、ポートフォリオに萌えキャラしかいない等、モチーフ選びに偏りがある人は、面接官が抱く「この人はひょっとして”芸術家”ではないのか」という懸念を、面接で払拭できると良いです。

具体的には、 自分の好きなこと・やりたいことを強く主張しすぎないようにすればOK です。

対策4:弱みはマイルドに。改善行動もセットで

弱みはマイルドなものにする

面接において、弱みを聞かれた際は、 クリエイターとしての資質が疑われるような、一発アウトになる発言を避けるようにしなければなりません。

”開発職で働いていく上で致命的な欠点になりうる弱み”は徹底的に避け、なるべくマイルドな弱みを話しましょう。

弱みはアピールに繋げられるものを選ぶ

自分が自分の“弱み”に気づいた上でどのように“弱み”に対処しているのかを具体的に伝えることができれば、“弱み”の説明を通して、相手にプラスの印象を与えることができます。

弱みを選ぶ際は「この弱みは論点次第で自分のアピールに変えられるのか」ということを念頭におくと良いでしょう。

【アピールに繋げにくい弱みの例】

  • 遅刻癖がある
  • コミュニケーションが苦手

対策5:誰かと協力した経験を用意しておく

ゲーム業界は誰かと共同して制作を行う機会が多いので、 他人と関わる中で何かを成し遂げた」という成功経験があるかどうかを重視します。

コミュニケーションに自信がなく、俗にいう”陰キャ”に自分が分類される心当たりがある場合は、一つくらいエピソードを話せるようにしておくと人当たりの悪さを補えるかもしれません。

【人と関わる中で何かを成し遂げた例】

  • 接客業のバイトにおいて、後輩に仕事を教えた
  • チーム制作において他のメンバーと“折り合いをつけて”何かを作った
    ※他人と話し合って制作しなければ、面接においてアピールにならない

最後に

この記事の内容を一言でまとめるなら…

「就活は理不尽だ」 、この言葉に尽きます。

もしあなたが面接で落とされても、それは説明会や自サイトにおいて、自社の”価値観”の詳細な説明を怠っているくせに、就活生に”価値観の合致”を求める企業が悪いだけです。 自分自身に責任はありません。

「自分のできる範囲でやり切った」という自負があるのならば、自分の可能性を疑わずに、”価値観”の合う会社が見つかるまでひたすら数を受ければ、必ず就職できると思います。


 

今回書いたことを一切知らないまま、面接で落ちたことを自分のせいにして勝手に傷ついた経験から、この記事を書くことを決意しました。

この記事の内容が誰かのお役に立てば幸いです。

それでは!